『謙虚な気持ちが大事よねぇ〜』
遠い昔、社会人になりたての頃に、当時の彼女に言われた言葉だ。
当時の私は、自動車ディーラーの新人営業スタッフだった。
バブルは弾けたが、自動車業界は、まだまだ"右肩上がり"の状況。
仕事をすれば、やった分だけ売れた時代。
学生時代に作ったマルイのローンを支払う為に、ひっちゃ気になって仕事をしていた。
その甲斐あって、同期の中では、ずば抜けた成績を上げ、配属先でも、先輩を差し置いて、好成績を上げ続けていた。
当然、社会人1年目で、成績も良く、収入もそこそこあり、新車でマークⅡを乗り回す23才。
お鼻は、ピノキオの如く高くなっていた。
デートの時に、自慢気にそんな話をすると、決まって「謙虚な気持ちが大事よねぇ〜」と、釘を刺されていた。
彼女は、私の1つ歳上。
短大を出て、某化粧品会社の販売員をやっていた。
社会人も4年目で、既に私よりも荒波に揉まれていたわけだ。
いつも、冗談交じりで言っていたこのフレーズ。
ある日、真顔で言われたことがあった。
「謙虚な気持ちが大事なんだよ。"実るほど、頭を垂れる稲穂かな"っていうでしょ。」
「成績が良い時は、良いよ。でも、もし、もしだよ、成績が下がったらどうする?」
「今は良くても、誰もあなたのことを応援してくれなくなるよ。」
「私なら、今のあなたからは、絶対に車を買わない。」
いつに無く、強い調子で言われたことを覚えている。
その時は
「そんなこと、分かってるよ。」
と、強がって、ムッとした口調で言い返した。
でも、彼女を家に送って、家に帰った後で「ハッ!」とした。
その後、背筋が寒くなった。
「そりゃそうだよな、俺でも自分から買わないわ(^^;;」
素直に、そんな気持ちになった。
「さっきは、ありがとう。俺、気を付けるわ」
電話を掛けて、お礼を言って、謝った。
遠い昔の、甘酸っぱい記憶…。
何で、こんな話を持ち出したか?
最近、自分が嫌になってました。
人を見下し、能力が無い人間を馬鹿にして、刺々しく接する。
全然、謙虚じゃなかった(^^;;
会社に行ってもつまらない。
何をやっても、そこそこ出来ちゃうから、仕事をベロンベロンに舐めてる。
でも、その状況を作り出してるのは、自分。
そりゃ、いつまで経っても楽しくなんかならないわ_| ̄|○ il||li
誕生日って凄いわ。
色々と振り返ってみたり、考え直してみたり。
このまま行ったら、闇夜に刺されるところだった(笑)
気持ち入れ替えよ。
でも、自分は自分を受け入れて、許してあげよ(^^)
あ、でも、この彼女とは、結婚出来ませんでした。
大好きだったんだけど、私がまだ若過ぎたんです。
元気にやっているらしいと、風の便りでは届いています。
あの時は、ありがとう。
そして、今日もありがとう。